相続の中でも遺言のご相談があったときに,弁護士には公正証書遺言の作成をおすすめすることがあります。
この理由のひとつとして,遺言書の全文を直筆で記載する必要があることがありました。
あまりケースとしては多くありませんが,遺産が多数に及ぶ場合にはやはり誤記や書き忘れの可能性は高くなります。
そうした自筆証書遺言の不便さを踏まえて,改正民法では,一部分については全文直筆を必要としない方法が創設されました(民法968条2項)。
具体的には,相続財産の目録について,財産目録の全ての用紙について,署名押印を行えば,自筆にて署名をすることまで必要ありません。
この財産目録はパソコンによって作成したものだけでなく,他人の代筆,不動産登記(全部事項証明書),預貯金の写しであっても,これらを添付することでも有効です。
書類について両面の印刷の場合にはその両方に署名押印が必要となります。
この改正によって,自筆証書遺言を作成することでその労力が格段に減ったかどうかというと疑問はありますが,ただ,誤記などのおそれはかなり減ったものと思います。
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岡崎事務所弁護士 安井 孝侑記
こんにちは、今回は普通養子縁組と相続についてです。
相続手続において、普通養子縁組における養子は、養子と実子とで相続分に違いはありません。
ただ、養子の子については、代襲相続において少し注意が必要です。
代襲相続とは、簡単に述べれば、例えば本来相続人になるはずの人が死亡などの理由で相続できないときに、その人の子が代わりに相続するという制度です。
この代襲相続においては、民法第887条第2項に規定する「被相続人の直系卑属」とは、相続開始前に死亡した被相続人の子を通じて「被相続人の直系卑属」でなければならないと解されますから、養子縁組前に出生した養子の子は代襲相続人となりません。
養子の子が養子縁組後に生まれた子であれば代襲相続人となります。
養子の子の出生時期によって代襲相続ができるかどうかが異なりますので、注意が必要です。
相続に養子縁組が絡んでくる場合、実子と養子の間で相続をめぐって争いになることもありますので、被相続人の立場としては、自身の死後に相続人間で争いが生じないよう、また、相続人のうち誰にどのような遺産を残したいのか等、生前に適切な遺言を残すこと等を検討されてはどうかと思います。
名古屋丸の内本部事務所弁護士 奥村 典子
第1回
前回から,改正民法により新設された,自筆証書遺言の保管制度についてご紹介しております。
この制度ですが,この保管を行う期間は,法務局が担当することとなりました。
詳しくは法務局のサイトがあります。
制度の利用をお考えの方は一度,お近くの法務局を検索してみてもいいかもしれません。
現時点での法務局の一覧はこちら
申請方法ですが
法律上は遺言者が「自ら」「出頭して」保管所に申請を行いに行く必要があるようです(遺言書保管法4条6項)。
また,申請する場合には受遺者等(遺産を相続させたい人など)の全員に通し番号をふる必要があるので,申請書の記載にはそれなりに大変そうですね。
以上のとおり,手続の大まかな概要ですが,私が見る限り,どこまでこの保管制度が普及するのかは少し疑問的です。
弁護士としては,これまでと変わらず,公正証書遺言を作成することをおすすめすることが多いと今のところは感じております。
ただ,せっかくできた制度ですので,制度自体はご紹介していきたいと思います。
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岡崎事務所弁護士 安井 孝侑記
改正相続法が施行され,1年がもうすぐ経過しようとしています。
そんな中,弁護士として実務に就くと,当然最低限のフォローアップをしますが,なかなか受験期ほどのまとまった時間をとっての学習ができないのが現実です。
そういったことから,弊所では,改正民法が施行される前に,事務所の弁護士有志で,改正民法を全て確認する,という改正民法輪読会というチームを立ち上げて勉強しました。
そんな中,せっかく今年はブログの更新の頻度を上げることを目標としておりますので,時々この改正民法の内容にもふれていきたいと思います。
まず,はじめに,自筆証書遺言の保管制度について紹介します。
もともと,自筆証書遺言(遺言者本人が直筆で作成する遺言書のことです。なお,全文直筆かどうかは改正があったのでこれは別の機会に紹介します。)は,紛失等のおそれがどうしてもネックでした。
極論,自宅が火事になってしまえば,自筆証書遺言が焼失してしまいます。
また,相続人が遺言書の存在を知らない場合に,遺言書の存在が,最初から出てこない場合もあります。
今回新設された,遺言書の保管制度はこれらの問題を解決するべく,遺言者は遺言書保管所において,遺言書の保管を申請できることになりました。
また,遺言書保管法によれば,遺言書保管所に保管されている遺言書については,家庭裁判所の検認手続は不要とされるようです(遺言書保管法11条)。
これもひとつ大きなメリットですね
遺言書の保管制度の概要は以上のとおりです。
次回は,具体的な方法について簡単に説明いたします。
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岡崎事務所弁護士 安井 孝侑記
相続が発生する前,生前段階で,予め自分の意思によって後の遺産をどのように処分するか定めておく方法として,もっとも馴染みのある手段は遺言かと思います。
特に自宅不動産について相続人のひとりと同居している場合などは,遺言を残しておかないと,相続人はそれぞれ法定相続分に相当する価値を取得する権利が生じるため,同居する(一般的には結びつきが最も強い)相続人が居住する自宅不動産を相続で取得する代わりに,他の相続人に対して多額の代償金を支払わなければならない事態が生じえます。
遺言の場合でも,他の同居していない相続人(兄弟姉妹除く)が最低限取得できる遺留分があるため,遺言を残しておくことで自宅不動産を承継する相続人が一切の金銭負担をしないということには必ずしもなるわけではないですが,適切な遺言を残すことで,確実に同居する相続人が将来負担する金銭を減らすことは可能ですので,自宅不動産を相続人のひとりに承継する意向がある方については,遺言の作成を検討された方が良いでしょう。
津島事務所弁護士 加藤 耕輔