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過去の記事

 昨今,民法改正に伴い,相続分野に関する法律が変更されています。 身近なところでいいますと,自筆証書遺言の方式が緩和されることとなりました。 これまで,自筆証書遺言については,遺言者がその全文,日付及び氏名を自書し,これに印を押さなければならないとされておりました(民法第968条1項)。自筆証書遺言を作成する際,遺産の内容を列挙するため,財産目録を作成することがありますが,これもまた手書きで記載しなければなりませんでした。 しかし,財産の種類・数が多い場合などであっても,手書きで財産目録を記載しなければならないため,遺言を書こうとする方にとって大きな負担となっておりました。 そこで,今回,民法改正に伴い自筆証書遺言の方式が緩和され,自書によらない,すなわちパソコン等で作成した財産目録を添付することができ,通帳のコピーの添付も許容されることになりました(2019年1月13日より施行)。この場合でも,偽造防止のため,財産目録等に署名捺印することは必要ですが,従前よりもずっと自筆証書遺言作成の負担が軽減されています。 近年,遺産分野に関しては,上記の他,「法務局における自筆証書遺言の保管制度」等,新たな制度が創設される予定となっており,その制度は目まぐるしく変化しております。 遺言に関しては,遺言者の気持ちとは裏腹に,相続人間で争いが起こってしまうことが少なくありません。遺言を残そうとされる方は,ぜひ一度専門家である弁護士に相談されることをお勧めします。   名古屋丸の内本部事務所 弁護士 黒 岩 将 史

名古屋丸の内本部事務所弁護士 黒岩 将史

 平成30年7月に,相続に関する民法の一部分(相続法)の改正が決定されました。相続法について約40年ぶりの大きな改正であり,この改正により配偶者居住権という制度が創設されることになりましたので(ただし,この部分の施行は2020年),以下で簡単ではありますがご紹介させていただきます。 前提として,例えば夫婦が2人で住み続けてきた家があるような状況でその夫婦の一方が不幸にも亡くなった場合,遺された配偶者は引き続きその住居に住み,生活環境を維持したいと考えるのが通常かと思います。 しかし,人が死亡すると,遺言書等がない限り法律で定められた相続分に従って相続が起こることになるので,亡くなった方に上記の家くらいしかめぼしい財産がない場合,その配偶者が家の権利の全てを取得できないということが起こり得ました。現状だとこのような不都合が起こり得るわけですが,このことを知らなかった方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。 そこで,遺された配偶者の生活を保障するために今回創設されたのが,配偶者居住権という制度です。 ここで,配偶者居住権というのは,端的に言うと,亡くなった方の所有する不動産にその配偶者が居住していた場合,その死亡後も遺された配偶者が引き続き不動産を無償で使用することのできる権利をいいます。 これにより,相続人が配偶者とその子1人で,亡くなった方の相続財産が家くらいしかない場合でも,“配偶者居住権”と“(他の相続人が住み続けるという)負担付きの所有権”とを分けて相続することができるようになりますので,配偶者は以前の生活を維持することが可能になります。更に言えば,他に相続財産として預貯金1000万円があり,家の価値が1000万円とされた場合,これまでだと家だけ取得し,その後の生活費の確保に困る事態が生じ得ましたが,上記のように家の所有権を分けて相続する結果,預貯金の一部を相続できる可能性も出てきます。 この配偶者居住権の発生には基本的に相続人間の合意が必要となりますが,裁判所が審判というかたちでこの配偶者居住権の取得を判断することもあります。 ここ数年で民法の様々な部分において改正が行われています。民法に限ったことではありませんが法律というものは常に変わりゆくものなので,弁護士として新しい知識をアップデートし,様々な相談に対応できるよう努力していきたいと思います。 丸の内本部事務所 弁護士 田中 隼輝

岡崎事務所弁護士 田中 隼輝

1 はじめに葬儀は,言うまでもなく大切な家族との最後の別れの行事として重要な行事です。しかし,その葬儀の費用をめぐって相続人間でトラブルになってしまうことがあるのも事実です。今回は,その葬儀費用をめぐってトラブルが生じた場合の対処方法についてご紹介したいと思います。

​​2 ポイント 結論を先取りして,今回お伝えしたいポイントをまとめておきます。

​​今回お伝えしたいのは, 

​​・原則として,葬儀費用は,遺産分割の問題ではなく,独自に民事訴訟の問題となるが相続人全員の同意があれば,遺産分割の中で話し合うことができる。 

​​・裁判例の傾向としては,葬儀費用は喪主が負担するとの判断が多いが,異なる判断を示したものもあり,複雑な判断が求められる。の2点です。

​​以下では,それぞれについてもう少し詳しくご説明します。

​​3 葬儀費用は遺産分割で取り扱うことができるか 法律上,相続の効果が発生するのは,被相続人が亡くなった瞬間です。したがって,遺産分割で話し合う対象は,「被相続人が亡くなるまでに築き上げてきた財産」ということになります。 

​​一方,葬儀は,当然ながら,被相続人が亡くなった後に執り行われます。被相続人が亡くなった後に行われる行事なので,葬儀にかかった費用は,「被相続人が亡くなるまでに築き上げてきた財産」ということにはなりません。

​​したがって,原則としては,葬儀費用は,遺産分割の対象とはならず,遺産分割の問題とは別の民事訴訟の問題となります。 もっとも,遺産も,葬儀費用も,「亡くなった後の被相続人に関する財産」ということで,相互に強く関連しあっています。 

​​そこで,相続人全員の同意があれば,遺産分割の中で話し合うことができます。 遺産分割の中で話し合った方が,相続の話し合いを一気に解決できるという側面もあります。相続人全員で話し合って,遺産分割の中で解決するという方法をおすすめします。

​​4 裁判例の傾向―喪主が負担すべきとの傾向― それでは,最終的には,葬儀費用は,誰が負担するべきなのでしょうか。 葬儀費用を一人で負担された方にとっては,「相続人全員で分担してほしい」というお気持ちもあるかもしれません。 

​​しかし,日本の葬儀では,一般的に,喪主が葬儀の段取りを執り,喪主が葬儀を主宰することが多いのではないでしょうか。この点を捉えて,裁判例を見てみると,「葬儀費用は喪主が単独で負担するべき」との傾向が見受けられます。 したがって,原則としては,喪主の方が負担するということになりそうです。 

​​もっとも,この点にも例外があります。例えば,葬儀の段取りを相続人の間で共同で行っており,「喪主」という肩書は形式的にすぎなかった場合などです。

​​このような場合には,それぞれの相続人が葬儀にどの程度貢献したか,遺産の総額,それぞれの相続人が遺産分割により取得する金額などを考慮して負担の割合を決めることになります。 様々な事情を考慮しなければならず,複雑な判断が求められるところです。

​​5 その他付随的な問題 葬儀費用一つとっても複雑な判断が求められますが,その他にも次のような問題が生じることがあります。 

​​①香典の取り扱いはどうするのか,②香典返しの取り扱いはどうするのか,③初七日,四十九日にかかった費用はどうするのか,④お墓の管理費用などはどうするのか,などなどです。 

​​これらそれぞれの問題についても複雑な判断が求められます。 お一人で解決することが難しければ,ぜひ弁護士にご相談いただきたいところです。

​​6 弁護士へのご相談にあたって 弁護士にご相談されるにあたっては,それぞれの支出や入金が分かる資料をお持ちくださると話がスムーズになるだけではなく,もし調停や裁判などの法的手続に移行した場合でも有利に進められます。

​​ 葬儀費用で言えば,葬儀屋の領収書,香典帳,葬儀費用を支出した通帳などがこれらの資料にあたります。ご相談される際には,これらの資料もお持ちください。 

​​大切な家族との別れの場が,紛争の種になってしまうことは,亡くなられた方にとっても悲しいことだと思います。ぜひお気軽にご相談ください。      

​​名古屋丸の内本部事務所 弁護士 岩田雅男

名古屋丸の内本部事務所弁護士 岩田 雅男

  • 7月
  • 6
  • Fri
2018年

収益不動産の相続

 相続財産の中に,収益不動産(例えば,賃貸マンションなど)がある場合には,遺産分割協議が成立するまでの,賃料収入,固定資産税,光熱費,その他維持管理費をどのように相続人間で負担するかが問題となることが多いです。なお,収益不動産の賃料は,遺産とは別個の財産であり,相続分に応じ各相続人が確定的に取得することとされています(平成17年9月8日最高裁判決)。

 これらの賃料収入や管理費用については,毎月発生するものであり,遺産分割協議の際に,適切に相続人間で清算することが望まれます。

 遺産分割協議が長期化すると,これらの賃料収入・管理費用の清算作業が大変なものとなってしまいますが,収益不動産の相続に関し,遺産分割協議を行う際には,賃料収入・管理費用の清算も忘れずに行うようにしましょう。

 

                                       名古屋丸の内本部事務所

                                       弁護士 木村 環樹

名古屋丸の内本部事務所 弁護士 木村 環樹

親族の方が亡くなられた後,遺言書がない場合には,遺産分割協議を行うことになります(遺言書がある場合の相続,遺言書が本物かどうか疑問がある場合については,こちらをご参照くださいをご参照ください)。さて,相続人間で遺産分割協議を行い,無事財産をどう分けるか決まりました。果たしてそれで全て終了なのでしょうか?不動産については名義変更を行わなければなりません。預金の払い戻し,相続税の申告も行わなければなりません。この場合に提出を求められるのが,遺産分割協議書なのです。遺産分割協議書は,単に作成さえすればいいというものではありません。例えば・・・

 ・戸籍上相続人であると知り得たのに気付かず,一部の相続人の署名捺印がない遺産分割協議書を作成してしまった。
 ・相続人ではない方を遺産分割協議書に加えてしまった。
 ・財産の特定が十分でない。こういった事情がある場合,遺産分割協議書が有効と判断してもらえない可能性があります。相続人が遠方におり,郵送でやり取りをするだけでも大変,といったこともあります。複数相続人の間を順番に遺産分割協議書を郵送で回していくと,途中で書類が行方不明になったり,非常に時間がかかったりということもあります。こういった場合には『遺産分割協議証明書』の利用も考えられます。聞き慣れないかもしれませんが,遺産分割協議書と同様の効力を持ち,全員が同じ書面に署名捺印する必要がないので,場合によっては,遺産分割協議書を作成するよりもずっと便利です。愛知総合法律事務所は,数多くの相続案件を手がけ,ノウハウについては多くの蓄積があります。争いになっているわけでもないのに・・・と思わず,相続手続について少しでも疑問が生じた場合には,お気軽にご相談ください。弁護士への相談が,後のトラブルを防止することにもつながります。                             津島事務所 弁護士 加  藤  純  介

岐阜大垣事務所弁護士 加藤 純介

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