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 相続放棄をすれば本当に安心なのでしょうか?今回は注意すべき2つのパターンを紹介します。

 まず,相続人同士で相続の話し合いがなされ,あなたは「自分が相続を放棄する」という内容で書面を作っていたケースを想定してみましょう。

 ある日,亡くなった方の借金が判明し,貸金業者からあなたのところにも相続分に従って支払うように請求書が届きました。あなたは,親族の中で「相続を放棄する」という内容の書面を作ったので支払えないと回答しますが,先程の合意書の内容は,貸金業者には通用しないということになってしまうわけです。

 つまり,先程作成した書面によっては,プラスの財産は放棄できていても,マイナスの財産は貸金業者の承諾なく放棄することができないため,注意が必要です。

 このように,亡くなった方の資金繰りなどの状況については注意しておく必要があり,借金の可能性がある場合には,家庭裁判所を通じた相続放棄の手続をとる必要があります。

 では,家庭裁判所を通じた相続放棄をしたからもう安心,ということになるのでしょうか?

 相続放棄の手続をしたあなたは,亡くなった方の不動産を売却したり,価値のあるものを他の相続人に隠していたとしましょう。

 以上のような場合や,価値の高い骨董品やブランド品を壊してしまうなどして財産の価値を下げてしまった場合には,一度行った相続放棄の手続が意味をなさず,通常の相続をすることを認めたとみなされてしまいます。これを「法定単純承認」といい,相続放棄をする場合にはこれらの行為についても注意する必要があります。

 相続放棄をすべきかどうかを含め,ご不明な点があれば,一度弁護士にご相談ください。

小牧事務所弁護士 小出 麻緒

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