解決事例
生前の相続対策の一環として、遺留分放棄を申し立てた事例
- ご相談内容
- Xさんのお父さんは,ご自身が亡くなった後に相続人間で争いが起こることを危惧し,あらかじめ遺言を作成していましたが,遺言があっても遺留分減殺請求が行われるだろうと気に病んでいらっしゃいました。 このために,自分が死んだ後で,兄弟間のもめ事を防ぐために,どのような対策が考えられるかを相談しにいらっしゃいました。
- 解決事例
- 当方で,お子さんたちのうちの,遺留分減殺請求を行う可能性のある方に,現時点である程度遺産を前渡しすることを条件に,遺留分放棄の申立を行うことを打診することになりました。 この案件では,お子さんの方で既にある程度援助を受けていたこと,これから取得を考えている不動産の取得費用として金銭を必要とする事情があったことなどから,ある程度の金銭を支払うことで遺留分放棄の申立を行うことに了承が得られました。 当事務所で,家庭裁判所に遺留分放棄の申立を行い,裁判所による本人の意向確認等の後に,無事に遺留分の放棄が認められました。
- ポイント
- 相続時の紛争を予防するために遺言書を作成することは一般的ですが,必ずしもこれのみで紛争を解決することはできないのが実情です。また,親の方では「あの子には,もうあれだけ援助をしてやってあるから,相続の時には不満は言わないだろう。」と期待していても,子供の方では受け止め方が違っており,遺留分減殺請求が行われて,結局法的に紛争は避けられなかった,といったこともあります。 遺留分の放棄は,放棄をする相続人側の意向が問題となるため,有効に使える場面は限られますが,紛争自体の予防という意味では効果は大きいといえますので,場合によっては検討してみてもいいかもしれません。なお,この際には税金との関係も検討することが望ましいので,税理士にも併せて相談できるとよいでしょう。当事務所には経験豊富な税理士も在籍しておりますので,お気軽にご相談ください。