解決事例
被相続人が経営していた会社の清算処理に関する対立で遺産分割協議が滞っていた事例
- ご相談内容
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相談者様(Aさんといいます)は,4年前に亡くなった父の遺産分割が未了とのことで相談に訪れました。
財産としてはさほど多いわけでもなく,なぜまだ終わっていないのか尋ねたところ、父が一人株主として経営していた会社の清算が適切になされていないということで,相手方から詳細な情報開示を求められており,同部分の説明に相手方が納得しないため,個人財産の遺産協議も進まないということでした。
- 解決事例
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Aさんにも,相手方にも従前,代理人弁護士が就いていたようですが,全く進展がないまま時間だけが経ってしまっていたため,Aさんは前任の代理人を解任し,当職へ依頼をしました。
会社の清算状況については残る資料を元にできる限りの説明を行うだけでしたが,裁判所外で説明しても,相手方が納得されるか未知数であったため,依頼後すぐに調停を申立てのうえ,調停内での精算手続に問題がないことの説明を書面をもって行いました。
そうしたところ,最終的には会社の清算に関することは問題ないことを前提として,遺産分割協議が無事成立しました。
- ポイント
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会社財産は,あくまでも法人所有のものとなり,すぐに遺産分割の問題にはなりません。
もっとも,今回のように,一人株主であった場合などは,清算後の余剰財産の帰趨について,相続人間で関心の対象となることもあると思います。
今回は,資料がある程度残っており,清算手続に問題がなかったことを事後的に示すことができましたが,資料が残っていないと余剰財産を費消した等といったあらぬ疑いのもと遺産分割が進まなくなる可能性もあるため,被相続人が経営していた会社の清算の際にも事前に弁護士に相談をなされた方が良いものと思われます。