解決事例
弁護士作成の危急時遺言の効力を争い,無効を前提に和解をした事例
- ご相談内容
- Aさんはお父さんが亡くなりましたが,公正証書遺言が存在したため紛争になることはないと思っていました。ところが,初七日の日に,弟が連れてきた弁護士が,危急時遺言があるとして,親族の前に現れました。その遺言は公正証書の内容を全て撤回しており,弁護士と弁護士事務所の事務員が証人としてサインをしておりました。私の父は遺言を作成したと言われている日にはもう言葉を発するのも難しい状態でした。このような遺言が有効となるのでしょうか。
- 解決事例
- 一度作成した遺言が,後日,相続人の誰かの主導により覆されることは珍しくありません。ご相談の事案では,まずは医療記録の取り寄せを行い,当該遺言日のお父さんの病状の確認を致しました。大きな病院でしたので電子カルテで残されており,当該遺言日の様子も残されておりました。およそ遺言作成能力があったといえないものと判断し,遺言の無効確認を求める訴訟を提起いたしました。最終的には,事実上危急時遺言はないものとして,和解により合意いたしました。
- ポイント
- 遺言の有効性を争いたいという法律相談は頻繁に受けます。裁判例も簡単には無効とは認めず,認知症があったからといって直ちに無効になるものでもありません。ハードルは高いものです。しかし本当に会話もできないような状態であったときに作成された遺言は無効にもなり得ます。まずは医療記録を取り寄せ,弁護士にアドバイスを仰ぐべきでしょう。